習得背景

会議は踊る

「今度は宇宙にぶん投げることになりました」
「マジですか!?」

  射出便利舎のプレハブにて、おじいと整備員の会話


FEG政庁城会議室


 宇宙への投擲技術の確立。
 緊急投擲展開軍の成功により、ニューワールド内であれば、文字通り飛んで駆けつけることができるようになり、設立当初の構想が完成を見た射出便利舎に、新たに与えられたミッションである。
 以前より、にゃんにゃん共和国における宇宙への打ち上げ能力は貧弱と言われており、貧弱な打ち上げ能力を少しでも補強することを目的として射出便利舎による宇宙投擲技術の確立が提案された。
 ターン16を迎えるにあたり、宇宙から敵性勢力がニューワールドに迫っていることが確認されており、それに対応することが必要であったためである。
 普通に考えれば無茶な話である。  緊急投擲展開軍のミッションがスタートした当初も、被投擲用に設計・開発されたアイドレスを着用しているとはいえ、200m級サイボーグが、人をぶん投げて無事に済む訳は無いと、開発会議では激論が交わされたのだが、今回のミッションは、緊急投擲展開軍で確立した投擲技術を以ってしても、開発に困難が伴うことは容易に予想されたのである。
 当然のごとく、開発会議は紛糾した。
 別の言い方をすると、会議は踊ったのである。もちろん阿波踊りである。
 もはや、投擲系のアイドレスを開発する際には、恒例となりつつある阿波踊りが炸裂したことにより、会議は収拾の方向に向かう。
 この困難なミッションに投擲者として選ばれたのは、三度おじいであった。射出便利舎の中で最高の技術と経験を持つおじい以外が投擲者になることは考えられなかったのである。
 また、今回は、投擲する際は人を直接投擲するのではなく、投擲対象を保護するためと、投擲後宇宙からの帰還するためにボール状の専用輸送機を開発することになった。
 ロケットの打ち上げを見れば分かることであるが、地上の重力を振り切る際には、過度のGが掛かり打ち上げ対象が失神や、悪くすれば負傷することもある。まして、投擲となればロケット打ち上げのように、推進機を使い徐々に加速することはできず、初めから最高速度に達することができなければ、地上の重力を振り切れない事が予想されたのである。
 おじいですらGを発生させること無く投擲することは無理であったため、乗員と積載物をGから保護するための投擲専用輸送機の開発を、SOUをはじめとするアイドレス開発チームに発注されることが決定された。

イメージ画像(実際とは異なる可能性があります)

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