●SS PART1
朝。
●購入経緯
多岐川佑華が家を買おうと思ったのは相方の小カトーがきっかけであった。
とあるミスで小カトーと生き別れてしまい、慌てて謝罪と説明の手紙を送ったのはいいが、小カトーは手紙を呼んでいなかった。
「あー。あれ? いや、字がおおかったから。今度よもうって」
……小カトーは活字嫌いであった。
それから、佑華の苦悩は始まった。
相談しようと思ってビデオレターを送ったが見ていなかった。謝罪したいから伝言を残したが返事をくれなかった。挙句の果てに人に言付けを頼もうとしたら、肝心の頼める相手が国にいなかった。
小カトーに連絡つけたい時、つける方法ないじゃん。
困り果てた末に「家買って電話置こう。多分これで連絡がつくはず。……多分」
そう言う結論に達した。
たまたま参加した年末パーティーで抽選で3名様に家が当たると言う抽選会があった。
まあ当たらないだろうなあと思い、とりあえず参加するだけ参加した所、何をどう間違ったのか抽選に当選してしまった。
「えー」
とりあえず、晴れて家が手に入る事となったので、いそいそと家をSHCのカタログから選び始めた。
元々小カトーの住んでいた家は、築約200年(端数を入れればもっと古い)と言う破格のぼろ家であり、古いとか大きいとかはあまり気にならないだろうなあと言うのが一つ、佑華が「ショウ君の戦闘機置けて電話があればどんな家でもいいなあ」と言うのが一つ。選んだ家は安アパートの2階にある小さな小さな家であった。
家は1Kと言う破格の狭さであった。まあ、30m2と言う狭さを考えれば台所がそこそこ広いのは上等であった。