小カトー・多岐川2&多岐川佑華

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二人一緒

 レンタルショップ四季折々。
 道楽で始めた店は、1月に2人お客さんが来たら上等と言う店で、今日もひまそうに店番をしていた。

「今日もお客さん来ませんわねえ」
「そうだねえ。まああと1時間お客さん来なかったら今日は閉めよっか」
「了解―」

 やる気のない会話である。
 もうちょっと需要のあるもの置こうとか考えてみるけれど、あまり店のコンセプトから離れるものを置いてもなあとは思う。

 カランカラン

「いらっしゃ………あ」
「よう」
「うにゃっ、いらっしゃい……どうしたの?」
「んー? 別に。今日は帰ってこれたから。ついでに様子見に来ただけ」
「にゃー……」

 ちらりとレジの方を見た。
 店員は半眼で口をパクパク動かした。


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『は・よ・か・え・れ み・せ・さ・き・で・い・ちゃ・い・ちゃ・す・る・な』

「……今日もう帰れそうだけど、帰ろっか」
「えー、いいの?」
「うん。店閉めてくれるって」
「ふうん」

 もう一度レジを見た。
 店員は相変わらず半眼である。

『と・っ・と・と・か・え・れ』

 とりあえずボーナス出すほど儲かってないから、今度お茶をおごろう、
そう思いながら、手を振った後一緒に歩き出した。

「今晩ご飯何か食べたいものある?」
「んー、何でも」
「うーん……昨日はお魚だったから今日はお肉にしようか。牛・豚・鶏何がいい?」
「牛肉!」
「分かったー」

 二人は手を繋いで歩いていた。
 同棲始めて早5年。
 結婚の約束もしている。

 幸せだなあ。
 そう思って繋いだ手を強めた。

「どうかした?」
「んーとね、幸せだなあって思ったの」
「うん」
「結婚したらもっと幸せになれるかなあ? 贅沢かなあ?」
「別にいいんじゃない?」
「えっ?」
「別に思ってる事が贅沢な訳ないじゃん」
「……うんっ」

 そのまま買い物しに歩いて行った。

 

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